共働き夫婦の住宅購入で増えているペアローン。住宅金融支援機構の調査によると、2024年時点でペアローンの利用率は約30%にのぼり、住宅を買う夫婦の3組に1組が選ぶ時代になりました。

でも、これ、私も悩んだんですけど——「2人の収入で返す前提」って、育休や時短に入った瞬間に崩れますよね。東京23区の新築マンション平均価格が1億円を超えた2025年以降、ペアローンじゃないと届かない物件は増える一方です。だからこそ、借りる前に夫婦で話しておくべきことがある。

この記事では、ペアローンが育休で「想定外」になる仕組みと、慌てないための備え方を3つに絞ってお伝えします。FP3級の知識と、わが家の家計まわりの実体験も交えながら。

ペアローンとは?——共働き夫婦が「買えない家」を買える仕組み

ペアローンとは、夫婦がそれぞれ別の住宅ローン契約を結ぶ方法です。つまり1つの家に対して、ローンが2本走る。借入可能額が増えるので、単独では手が届かない物件に手が届くのが最大のメリットです。

住宅ローン控除も2人分受けられます。2026年5月時点で、省エネ基準適合住宅なら借入限度額3,500万円(子育て世帯は4,500万円)。夫婦それぞれが控除を受ければ、10年間で170万円以上の節税になるケースもあります。

一方で、契約が2本あるぶん諸費用も2倍。融資手数料・保証料・団信(団体信用生命保険)がそれぞれにかかるため、初期コストが100万円以上膨らむことも珍しくありません。

育休・時短で「想定外」が起きる理由

ペアローンの最大のリスクは、片方の収入が減ったときに返済計画が一気に狂うことです。正直に言うと、ここが一番怖い。

育休中の手当は、最初の180日間が給与の67%、それ以降は50%まで下がります。ボーナスは出ません。復帰後も時短勤務を選べば、収入は育休前の7〜8割に落ちるケースが多い。

Xでもこんな投稿が話題になっていました。

「夫婦でペアローンを組みました。1人では届かない家でした。2人なら買えました。安心しました。でも出産で妻の収入が減りました。育休で手取りも減りました。保育料も増えました。なのにローンは2人分」

これ、けっして他人事じゃない。ペアローンは「今の2人の収入」を前提に設計されています。でも人生には育休も時短もある。転職もあれば、体調を崩すこともある。返済比率(年収に占めるローン返済の割合)が25%以下なら安全圏とされますが、片方の収入が半減すれば、いとも簡単に35%を超えてしまいます。

お金のストレスが夫婦関係を壊す

返済がキツくなると、お金の話がそのまま喧嘩の火種になります。「なんでこんな高い家にしたの」「あなたがもっと稼げば」——そんな言葉が、最初は冗談でも、繰り返されると致命傷になる。

日本では毎年約60万組が結婚し、約21万組が離婚しています。3組に1組が別れる計算です。ペアローンが残った状態で離婚すると、共有名義の物件をどうするかという問題が発生します。売却には双方の合意が必要で、2026年現在は金利上昇局面のため、単独ローンへの借り換えハードルも上がっている。

わが家はまだ賃貸なので住宅ローンの経験はないのですが、失敗談ですけど——結婚当初、完全別財布で「誰が何を払うか」で揉め続けた時期があったんです。生活費は共有口座、お小遣いは個人、貯金は月1で確認という「夫婦財布制」に変えたら、お金の喧嘩がゼロになりました。お金の管理方法が曖昧だと、金額の大小に関係なく揉める。ペアローンのような大きな金額ならなおさらです。

「返済パニック」を防ぐ3つの備え方

ペアローン自体が悪いわけじゃない。ただ、「2人の収入が続く前提」で全力で借りるのが危ない。以下の3つを夫婦で確認しておくだけで、育休や時短で収入が減ってもパニックにならずに済みます。

備え①:片方の収入だけで返せる金額に抑える

一番シンプルで一番効く。借入額を「2人の収入で楽に返せる額」ではなく、「どちらか1人の収入でもギリギリ返せる額」に設定しておく。住宅ローンの融資限度額は年収の7〜8倍が一般的ですが、限度額いっぱいまで借りるのは危険です。

返済比率の目安は、片方の年収だけで計算して25%以内。2人合わせて25%以内ではなく、1人で25%以内。これを基準にするだけで、育休中に家計が火の車になるリスクは大幅に下がります。

備え②:育休前に「6か月分の生活費バッファ」をつくる

育休中は収入が減るだけでなく、出費が増えます。ベビー用品、検診費用、想定外の医療費。だからこそ、育休に入る前に生活費6か月分の現金バッファを確保しておきたい。

うちの場合、夫婦で固定費を全部リストアップしたら、お互いに被っているサブスクが2つ見つかって月1,500円浮きました。小さい金額に思えるかもしれませんが、年間で18,000円。こういう「見える化」の積み重ねがバッファをつくるんです。固定費の棚卸しは、貯金額を公開するよりずっとハードルが低いので、最初の一歩としておすすめです。

備え③:毎月15分の「お金タイム」で返済状況を共有する

わが家では月初の日曜に、コーヒーを飲みながら15分だけ「先月の振り返りと今月の予定」を確認するルーティンを続けています。

これをやる前は、お金の話を切り出すタイミングがつかめなくて、月末にまとめて確認→重たい空気、という悪循環でした。でも短時間のルーティンにしたことで、「お金の話=重たい」というイメージが薄れたんですよね。夫も抵抗なく参加してくれるようになった。

ペアローンの返済状況も同じです。お互いの返済残高や金利タイプを、月に1回15分で確認する。それだけで「知らないうちにヤバいことになっていた」を防げます。お金の話は、頻度を上げて1回の重さを下げるのがコツです。

まとめ——ペアローンで後悔しないために

ペアローンは共働き夫婦にとって、住宅購入の有力な選択肢です。でも「2人の収入が前提」という構造的なリスクは見落とせません。

育休・時短・転職——ライフイベントで収入が変わる可能性は、どの夫婦にもあります。大事なのは、借りる前に夫婦で「収入が減ったらどうする?」を話し合っておくこと。今日のこの記事が、その会話のきっかけになったら嬉しいです。

FAQ

ペアローンと連帯債務の違いは何ですか?

ペアローンは夫婦がそれぞれ別のローン契約を結ぶ方式で、住宅ローン控除を2人分受けられます。連帯債務は1本のローンを2人で返済する方式で、控除は主債務者のみ(金融機関により異なる場合あり)。諸費用はペアローンのほうが高くなります。

育休中でもペアローンの審査は通りますか?

金融機関によりますが、復職予定の証明書類を提出すれば審査に通るケースもあります。ただし育休中の減収分は考慮されるため、借入可能額は下がることが多いです。2026年5月時点では、復職後の見込み年収で審査する銀行も増えています。

ペアローンの返済比率はどのくらいが安全ですか?

一般的には返済比率25%以内が安全圏とされます。ただしペアローンの場合、片方の収入が減るリスクを考慮して、1人の年収だけで25%以内に収まるように設計するのがより安全です。

ペアローンを組んだあとに離婚したらどうなりますか?

共有名義の物件を売却するか、どちらかが単独ローンに借り換えて住み続けるかの選択になります。売却には双方の合意が必要で、ローン残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の場合は手出しが必要になることもあります。

参考文献