「一度浮気した人は、また浮気する」。この言葉を聞いたことがない人のほうが少ないだろう。パートナーの浮気が発覚した後、再構築を選んだ人も、別れを選んだ人も、頭のどこかでこのフレーズが引っかかっている。

筆者は探偵として10年間、500件以上の浮気調査を担当してきた。その中で「2回目の依頼」——つまり同じパートナーの再調査を受けたケースも少なくない。一方で、浮気をした後に本気で変わり、関係を立て直した夫婦も見てきた。

結論から言う。統計的には「繰り返すリスクは高い」。だが「全員が繰り返す」わけではない。この記事では、2017年のデンバー大学の研究データと、筆者の現場経験を照らし合わせながら、繰り返す人と変われた人の違いを整理していく。

研究が示す「3倍のリスク」とは何か

2017年、デンバー大学のKnoppらが発表した研究(Archives of Sexual Behavior誌)は、484人を約5年間にわたって追跡した縦断研究だ。2つ以上の交際関係を経験した参加者に対して、年3〜4回の調査を計11回実施している。

結果はシンプルだった。最初の交際で浮気をした人は、次の交際でも浮気をする確率が約3倍。逆に「パートナーの浮気を疑った経験がある人」は、次の交際でも疑う確率が約4倍だったという。

この数字をどう読むか。「3倍」と聞くと絶望的に感じるかもしれないが、裏を返せば浮気経験者の全員が繰り返しているわけではない。むしろ、繰り返さなかった人のほうが多数派だ。問題は「何が分かれ目になるのか」にある。

繰り返す人に共通する3つのパターン

500件の調査経験から、浮気を繰り返す人には明確な共通点があった。筆者の整理では、大きく3つに分かれる。

パターン1:事実の矮小化

「キスだけだった」「1回だけだった」「本気じゃなかった」。こういう言い方をする人は高確率で繰り返す。なぜなら、行為そのものを過小評価している時点で、パートナーの傷の深さを認識できていないからだ。

事実から逃げるな——と筆者は相談者に伝えることがある。矮小化は自分を守る防衛反応だが、パートナーにとっては「この人は反省していない」と映る。信頼回復の入口すら見えなくなる。

パターン2:「環境のせい」にする

「飲み会の流れで」「相手に誘われた」「寂しかったから」。浮気の原因を外部に帰属させるパターンだ。環境要因がゼロとは言わない。だが、同じ環境にいても浮気をしない人がいる以上、選択の責任は本人にある。

このタイプは、同じ環境——つまり同じ飲み会、同じ職場、同じ交友関係——に戻った瞬間に再発しやすい。行動パターンを変えていないからだ。

パターン3:謝罪が「儀式」で終わっている

土下座した。泣いた。「二度としない」と誓った。でもそれだけ。具体的に何をどう変えるのかが言語化されていない。ゴットマン博士の言葉を借りれば、Atone(償い)の段階で止まり、Attune(相手の感情に合わせる)やAttach(再び結びつく)に進めていない。

ごまかすと深まる。謝罪という「形」だけで信頼が戻ると思っている人ほど、半年後にまた同じことをする。筆者が調査の現場で繰り返し見てきた光景だ。

変われた人がやっていた3つのこと

では逆に、再発しなかった人は何が違ったのか。筆者が関わったケースの中で、再構築に成功した夫婦に共通していたことを3つ挙げる。

1. 事実認定を省略しなかった

何をしたのか、いつからいつまでだったのか、どこで会っていたのか。言いたくないことも含めて、パートナーの質問に全部答えた人は回復が早かった。

以前、浮気がバレた男性の再構築を間接的に見守ったことがある。彼は24時間かけて事実をすべて認め、その後3ヶ月間、スケジュールや行動をすべてオープンにした。半年後、妻から「やっと話せる関係になった」という手紙が届いたと聞いた。まず認める。ここを飛ばして謝罪に走ると、言い訳にしか聞こえない。

2. 行動を構造的に変えた

「二度としない」は気持ちの話。変われた人は気持ちではなく仕組みを変えていた。飲み会の二次会には行かない。SNSで異性と個別にやりとりしない。帰宅時間が変わるときは事前に連絡する。些細に見えるが、これが「検証可能な行動変容」になる。

朝5時に起きてジムに行く習慣がある筆者自身も実感するが、行動を変えるとは「ルールを作り、守り、例外を作らない」ことだ。意志力に頼る再発防止は長続きしない。

3. パートナーの「繰り返しの質問」に耐えた

再構築の過程で、パートナーは同じことを何度も聞く。「本当にあの人とはもう連絡していない?」「あの日、本当にそれだけだった?」。これはパートナーが事実を消化するプロセスであり、信じていないわけではない。

ここで「前にも答えたよね?」と突き返すのは致命的だ。繰り返しの質問に毎回同じトーンで、同じ事実を返せるか。矛盾した回答をしないか。ここが変われた人と繰り返す人の最大の分岐点だった。

「疑う側」にも知ってほしいこと

Knoppらの研究で見逃せないのは、浮気を疑った側の再発リスクだ。パートナーの浮気を疑った経験がある人は、次の交際でも4倍の確率で相手を疑うという結果が出ている。

つまり「一度浮気された人は、次の関係でも疑いやすくなる」ということだ。これは浮気する側だけでなく、された側にも回復のプロセスが必要であることを意味する。

再構築を選ぶなら、パートナーの行動変容を観察しつつ、自分自身の不安の出どころも整理する必要がある。不安が「今の行動」に基づいているのか、「過去の記憶」に基づいているのかを区別すること。後者なら、信頼できるカウンセラーに相談するのも一つの手段だ。

再発リスクを下げるための判断基準

最後に、「この人は変われるのか」を見極めるための判断基準を整理しておく。筆者の経験則と研究データを統合したものだ。

変われる可能性が高いサイン:

  • 事実を自分から全部話した(問い詰められる前に)
  • 浮気相手との連絡手段をすべて断ち、その証拠を見せた
  • 「寂しかったから」ではなく「自分の弱さが原因」と認めている
  • カップルカウンセリングや専門家への相談を自分から提案した
  • 行動の透明化を期限なしで受け入れている

再発リスクが高いサイン:

  • 事実を小出しにする(聞くたびに新しい情報が出てくる)
  • 「あなたにも原因がある」と責任転嫁する
  • 「もう忘れてくれ」と早期の幕引きを求める
  • 浮気相手との関係を完全に断てていない
  • 行動パターンが浮気前と何も変わっていない

これらはあくまで傾向であり、個別の状況で判断は変わる。ただし、上のリストで「再発リスクが高いサイン」に3つ以上当てはまる場合、筆者の経験上、再発率は極めて高い。

FAQ

「一度浮気した人はまた浮気する」は統計的に本当ですか?

デンバー大学のKnoppら(2017年)の研究によると、浮気経験者が次の関係で再び浮気する確率は約3倍です。ただし「全員が繰り返す」わけではなく、事実認定と行動変容ができた人は再発しにくい傾向があります。

浮気した側が「変われた」かどうか、どう見極めればいいですか?

事実を自分から話しているか、行動パターンを構造的に変えているか、繰り返しの質問に耐えられるかの3点が判断基準になります。謝罪の「回数」ではなく「行動の一貫性」を見てください。

浮気された側にも回復は必要ですか?

はい。同研究では、パートナーの浮気を疑った経験がある人は、次の関係でも4倍の確率で相手を疑うという結果が出ています。過去の記憶による不安と、今の行動に基づく不安を区別するプロセスが重要です。

浮気を繰り返す人に共通する心理的な特徴はありますか?

現場経験から見て、事実の矮小化(「大したことじゃない」)、外部帰属(「環境のせい」)、謝罪の儀式化(形だけの反省)が共通パターンです。いずれも自分の選択への責任を回避している点で共通しています。

再構築中にカウンセリングは受けたほうがいいですか?

筆者は推奨します。特に浮気をされた側の不安が「過去の記憶」由来か「今の行動」由来かを整理するには、第三者の視点が有効です。夫婦カウンセリングだけでなく、個人カウンセリングの併用も検討してください。

参考文献